ADHDの息子と不登校

ブログでも何度か書いていますが、うち息子はADHDです。小学校の先生から見れば「話を聞けない、忘れ物の多い、友達とケンカばかりする生徒」だったと思います。

とても手のかかる子には、かわりありませんが、母親から見るとうちの息子は「多趣味で興味を持ったことに集中できる、活動的で即行動できる、頭の回転が速く理解力のある子ども」です。

私は息子のことを「とても子どもらしい子ども」だったと思っています。自然を体験させたくて小さな頃から魚釣り、潮干狩り、夏休みは早朝からクワガタを探しに行きました。

巨大カブトムシの幼虫飼育にはまった時は、遊びに来たママ友達が壁一面を埋め尽くす、ずらりと並んだ菌糸瓶を見て、副業でキノコ栽培をやっているの?と聞かれたくらい家族で熱中していました。

息子には抜群の企画力、説得力、実行力がありましたので、どちらかと言うと息子の閃いた「コレをやりたい!」に賛同し、家族みんなで楽しんでいたような感じです。

小学校までは、忘れ物が多くて、人の話が聞けなくて、意地悪をされれば真正面から向かっていくので友達とのケンカが多い難点はありましたが、不登校になることは有りませんでした。

そんな息子が中学校に入学すると直ぐに、担任からあれこれ注意を受けるようになりました。みんなが出来ることが息子には出来ないのです。

例えば息子は、朝のホームルームで担任の先生から伝えられる諸連絡や注意事項、時間などをまったく覚えられなくて、友達に教えてもらわないと何処の教室に移動するのかも分からない。中学生になったのだからこれでは困るとのことでした。

教頭先生から、「こんな問題ばかり起こす生徒は今まで居なかった」と言われ、ADHDの生徒が理解されていない現実に驚きました。

身体が大きくて目立つのに、いつもふざけてフラフラしているので、常に先生から叱られていたようです。

ですが、小学校の時にケンカをしていた子とは別々の中学に進んだため、ケンカをすることは1度も有りませんでした。

友達もできて中学生活も落ち着いて来たと思っていた中学2年生の時に、教室内で友達とふざけていて大けがをさせてしまいました。

後に偶発的な事故だったと分かったのですが、最初は誰もがケンカになって相手を怪我させたのだと思い込んで息子を責めました。

小学生の頃のケンカとは大きく異なっていましたが、例え身を守ろうとしていたとしても、相手が怪我をしたことには変わりがないので、私、夫、息子の3人で謝罪に行きました。

息子は友達とお母さまにしっかりと謝罪をした上で、ケンカでは無くて偶発的な事故だったということをとても冷静に説明していました。

事故から数日経った頃に、息子は学校に行けなくなりました。

同じことを担任にも学年主任にも教頭にも校長にも何度も何度も聞かれて、誰も自分のことを信じてくれないように感じたようです。

学校中に「ケンカをして相手に大けがをさせた乱暴な生徒だと噂になっている」とつぶやいて部屋から出て来なくなりました。

部屋のドアにバリケードを作って完全に閉じこもってしまったのです。

その頃の私は、心理学も知らなかったし、思春期の男の子の気持ちを思いやる余裕もまったくなくて、今考えると息子に対してダメダメな対応しかしていません。

知らなかったとは言えむしろ、不登校になった子どもにやってはいけないことばかりやっていました。

私がやってしまったのは、「学校に行く時間だよ!」といって無理やり子ども部屋のドアを開けようとしたり、自分が怒って「学校に行きなさい!」といった後に、言うことを聞かないからといって、夫にも「学校に行きなさい!」と言わせていました。

私が夫に言わせているのは息子にもバレバレでしたので、むしろ逆効果です。効果的なのは、何気ない声掛けです。しかし、引きこもっていれば声掛けが出来ません。

数日後には息子にうつ病の症状があらわれていました。ストレスが体調不良にあらわれ、酷い首の痛みを訴えたので、病院に行くために仕方なく部屋から出てきました。

部屋から出てきて直ぐは、怖いくらい表情が無くて何か話しかけても完全無視されていました。

病院で検査を待っている間などに話しかけると、うなずくなどの返事をしてくれるようになりました。

不登校は、お子さんごとにその理由が違いますので、この方法で治りますと書くことはできません。息子には効果的な言葉でも、すべてのお子さんに当てはまるものでは無いからです。

絶対に言ってはいけないのは、「あなたが不登校なんて知れたら世間体が悪いでしょ!」というような、自分のことしか考えていない親の身勝手な発言です。

私は、偶然に息子にぴったり合う言葉がけが出来たようです。ある日突然、息子の方から明日は学校に行くと言い出して不登校は終わりました。

そのお子さんが耳を傾けてくれる声掛けが出来るか、出来ないかで不登校が長引くが長引かないかが、変わってくると思います。

酷い虐待を受けているのが原因の場合は、無理やり学校に行かせない方が良いケースも有りますし、息子のように自分の中なのモヤモヤが解消できて自分から学校に行くと言ってくるケースも有ります。

「押してもダメなら引いてみろ」です。難しかったら、ご相談ください。一緒に解決方法を考えてみましょう。