大人のための安全基地づくりとは

安全基地とは

安全基地という言葉をご存知でしょうか。

子どもにとっての安全基地とは、安心して過ごすことのできる温かい家庭などをさします。

お腹が空いたらご飯を作ってくれて、髪を梳かしてくれたり、服の着替えを手伝ってくれたり、お世話をしてくれるお母さんがいて、お仕事をして家族の生活を支えてくれて、休みの日には遊んでくれて、雷が鳴って恐い時には、ぎゅっと抱きしめて守ってくれるお父さん。

安全基地が確立された温かい家庭で両親に見守られて育った子どもを公園に連れて行くと、木に登ってみたり、小川を飛び越えてみたり、自転車に挑戦したり様々なことに思うがままにチャレンジします。

木に登って降りられなくなっても、自転車のペダルが上手くこげなくてひっくり返ってしまっても、親が必ず助けてくれると確信があるから子どもはチャレンジできるのです。

自分のことを信頼して見守ってくれて、挑戦しようとする姿を見守って後押ししてくれる家族が子どもにとっての安全基地なのです。

もし、木に登って降りられなくなった時に、親は仕事に行っていて不在だから何時間泣いたとしても誰も助けに来てくれないと分かっていたら、子どもは木に登らなくなるでしょう。

また、両親が共働きで夕方の一定時間をいつも1人で過ごさなければいけなかったり、親が夜勤の夜は1人で過ごさなければいけなかったなど、「親が自分を残して仕事に行ってしまった」と、仕事に親を取られたと感じた子どもに安全基地が確立されていない場合もあります。

誰も助けてくれない、1人ぼっち、見放された様な絶望感は、まだ両親に見守って欲しい幼少期の子どもの心に愛着障害というかたちで深く傷を残します。

両親が不仲でいつも言い争いばかりしていた機能不全家族や、親から虐待を受けていた子どもなどは、いうまでもありません。

大人にとっての安全基地とは

では、安全基地を持たないまま大人になってしまった人はどうしたら安全基地を作れるのでしょうか。

大人になってから安全基地(心の拠り所)になってくれるのは、あなたのことを理解してくれて、凹の部分を補ってくれて、いざという時は「やってみたら?きっとできるよ」と、後押ししてくれる恋人やパートナーです。

しかし、幼少期に安全基地を確立できないまま大人になってしまった場合は、異性とお付き合いしても自分が結婚をして家庭を築くというイメージまでは、なかなか持てません。

機能不全家族で育ったために自分が家庭を築けるのか自信がなかったり、不仲な両親の離婚を見て育ったために負の連鎖を起こしたくないと考え、一生独身でいることを選択する人もいます。

私は以前、ボランティアでカンボジアに住んでいたことがありますが、カンボジア料理(クメール料理)を食べたことが無い人が「今からカンボジア料理を作って下さい」と、言われてもイメージできないのと同じで、安全基地を知らない人が「結婚して温かい家庭を作ろう」と、言われても何をどうしたら良いのか分からないのです。

大人になってからの安全基地の確立

大人になってからの安全基地は、身近にある幸せを見つけることから作り出すことができます。

以前、愛着障害のブログで書いたことと同じ作業になりますが、まずは「自分にとって居心地の良い空間」を見つける作業から始めると良いでしょう。

楽器を演奏するのが好きだったり、スポーツをするのが好きだったら、同じ趣味の人と話をしたり、グループやサークルに所属して練習したり、一緒にいて楽しく過ごせる時間を増やしていく作業です。

なかには1人で読書をしている時が一番幸せだと感じる人も居るでしょう。1人で居るのが好きな人は、自分が好きな時に好きなこと(行動)ができるのが幸せなんだと思います。

読書をしている時間が1番落ち着くのなら無理に誰かと一緒に過ごさなくても良いのです。

居心地の良い自分のお気に入りの空間を作れる様に、好きな音楽をBGMに流したり、暖かな色の照明器具を置いたり、アロマを焚いたりなどして五感でやすらげる工夫をすると良いでしょう。

恋愛が苦手で3次元よりは2次元の異性が好きなら、部屋中をフィギアだらけにしても構いません。Twitterで情報を発信したりするうちに同じ趣味の人が見つかって、オフ会で意気投合する可能性もあります。

あなたの中の安全基地づくり

安全基地とはつまり、

あなたがあなたらしくいることを後押ししてくれる人や物が、あなたにとっての安全基地なのです。

子どもの頃に戻って安全基地を確立することはもうできませんが、大人になったあなたは自分の力で、あなた自身があなたの安全基地になることも出来るのです。

カウンセリングルームi-koiの取り組み

私は乳児期に母から育児放棄をされたため、愛着障害でずっと心が不安定でした。

結婚をして幸せをつかんで初めて、「私は安全基地を探してもがいていたんだ」と分かりました。

育児放棄とまではいかなくても、親からの虐待や機能不全家族、いじめや不登校などで(学校に)安全基地が無い人は大勢いるはずです。

心理カウンセラー自身が、親や学校の代わりに苦しんでいる人を理解して背中を押して送り出してあげられる安全基地になることができると確信しています。

カウンセリングルームi-koiでは、カウンセリングを終了された方を卒業生とお呼びしてアフターフォローをしています。

卒業生は、何年後でも1時間3,000円でカウンセリングを利用できます。

卒業後も安全基地(心の拠り所)としていつでも帰って来れるカウンセリングルームでありたいと思っています。