音楽でセルフカウンセリング

米津玄師さんの「アイネクライネ」と言う曲をご存知の方も多いと思います。私は最近になって米津さんの曲を聞き始めたのですが、何度聞いてもラストの言葉で泣いてしまって困っていました。

私は感受性が強く、悲しい映画やドラマを観ると共感しすぎてボロボロ泣いてしまうので、特に飛行機の中など公共の場では動物ものと戦争ものの映画は絶対に観ないように家族から注意されています。

意外と思うかもしれませんが、共感しすぎる人は心理カウンセラーには向きません。クライエントの話を自分の体験と重ねてしまい冷静な判断に支障をきたすからです。心理カウンセリングをするためには、まずは自分が常に悩みのない状態でいなければならないのです。

心理カウンセラーと言っても、誰しも日常生活を送っていれば悩みが生じるものです。そんな時は、セルフカウンセリングで軌道修正をしています。

まずは自宅で音楽セラピーをやってみます。音楽を聴くと自然と涙がこぼれてしまう。実は泣くことはとっても良いことなんです。

精神分析の用語で「カタルシス効果」というのがあります。心理カウンセリングでは、カウンセラーがクライエント(相談者)の悩みを聴くのが仕事になります。クライエント自身は悩みを語ることによって心の浄化作用があるのです。「人に話したらなんかスッキリした」という効果です。

泣くことにも「カタルシス効果」があります。「失恋したら泣いて忘れる」なんていうのも脳には良い事なんです。そんな時に音楽セラピーには即効性がありますので、泣くことでだいぶ心が癒されます。

次に行動心理学から考えてみます。

私は、「アイネクライネ」の歌詞でラストの「あなたの名前を呼んでいいかな」を聞いた瞬間にいつも泣いてしまいます。

「名前を呼ぶ」という行動を分析してみます。結果から話すと「名前を呼ぶ」という行動は愛情表現なんですね。

知り合いが「あゆみさん」と私を呼ぶとき、私は個人として認められています。知らない人なら「そこの方」とか「あの人」という呼び方になります。

アイネクライネの歌詞の中の「産まれてきたきたその瞬間にあたし『消えてしまいたい』って泣き喚いたんだ」というところは歌詞の中の女性の自己肯定感の低さを表しています。

ラストの、「あなたの名前を呼んでいいかな?」と言うのは、あなたは「こんな私」を認めて愛してくれた。私も「あなたの名前を呼んで(=愛して)いいかな?」という意味なんです。

「人から認められる」というのはとても嬉しいことなので、この曲を聴いて共感してしまっていたんですね。

米津さんの表現力は本当に素晴らしいです。歌詞の女の子が幸せをつかめて安心したし、この共感は悪いものではないので大事に温めて置くことにしました。

最後にセルフカウンセリングで分析をしてみました。

私は子供時代に育児放棄された経験からインナーチャイルドを持っています。

少し奇妙な表現になるかも知れないのですが、このインナーチャイルド=(小さいころの私)が、私に話しかけてくるのです。

インナーチャイルドは、「あの歌の『産まれてきたきたその瞬間にあたし消えてしまいたいって泣き喚いたんだ』ってさ、あゆみの気持ちのことだよね?本当はさ、あゆみもこんな親から産まれたくなかったって思っているんじゃないの?」こんな感じでズケズケ言ってきます。

3日ほどかかりましたが、このインナーチャイルドと対話をして納得して貰えました。インナーチャイルドが姿を消したので、もう「アイネクライネ」を聴いても泣くことは無くなり、大好きな曲に変わりました。気持ちもスッキリしているので、セルフカウンセリングは終了です。

このインナーチャイルドがずっと暴れまわっている状態がアダルトチルドレンです。もしインナーチャイルドに気が付いたら、抑え込まずに対話してみてください。嘘のように気持ちがすっきりします。

彼と知り合った頃は名字で呼ばれていたのに、初めて下の名前で呼ばれた時にドキドキや特別な愛情を感じませんでしたか?

時々、彼と出会った頃を思い出してみてください。結婚後もたまには愛情表現も必要です。パパ、ママでは無くてお互いに名前で呼ぶ方が離婚率が下がりますよ。