機能不全家族で育った者の恋愛

機能不全家族は、全体の60%を占めると言われています。子どもの乳児期から幼児期にかけて両親との間に結ばれる愛着の絆には4種類あって、子どもが成長してパートナーを選ぶ時など、一生涯に渡って子どもの人生に影響を与えることになります。

幼少期に両親に愛されて大切に育てられた子どもの場合、過半数の人が安全型の絆を形成して自立した大人に成長します。自立した大人は、パートナーに依存することなく、お互いのことを尊重しあえる対等な恋愛関係を築けます。

幼児期に育児放棄や虐待などをされた子どもの場合、安全型の絆を築けることはほぼ無く、大抵の子どもが愛着障害をおこします。

愛着障害の子どもが成人すると、自立することが出来ずにパートナーに対して極度に依存してしまったり、パートナーに見捨てられるのを怖がってリストカットなどの騒ぎを起こして、その愛や自分の価値を確かめようとする不安囚われ型の絆を形成します。

育児放棄まではいかなくても、両親が仕事を理由に子どもに食事を作らずにコンビニエンスストアのお弁当などを毎日1人きりで食べていたり、シングルファザーなどの理由で運動会の学校行事にお弁当を持たせなかったり、授業参観に1度も出席しないなど親からの愛情が足りずに成長した場合、他人との交流を拒んだり誰かに頼ることを拒絶する回避拒絶型の絆を形成します。

アルコール依存症やキャンブル依存症の親の場合、子どもは生きて行く為に絶えず親の顔色を伺い、暴力に怯えながらも共に暮らしていかなくてはなりません。幼児期から生き延びる為に親から離れなれないのと、親と一緒にいれば暴力を受ける矛盾の中で成長するので、成長してもパートナーへの態度や感情を上手くコントロールする方法がわからずに関係を継続することが困難になる、無秩序型の絆を形成してしまいます。

もっとも危険なのが無秩序型の絆で、すべての対人関係において急に腹を立てたり、泣き出したり、自分自身の感情をコントロールすることが困難なので、不安な気持ちをアルコールで紛らわそうとします。アルコール依存症の親の子どもは、アルコールに強い遺伝子を受け継いでいるので、その子どももアルコール依存症になりやすいと言われている所以ではないかと思います。

では、機能不全家族に育てられた子どもは、素晴らしいパートナーに出会っても幸せな家庭は築けないのかと言うと、決してそんなことはありません。大人になってからでも自分で変わろうと決心すれば、人は変わることが出来るのです。

自分の愛着障害の型をきちんと理解して、なぜパートナーに対して気持ちが不安定になってしまうのかが分かれば、パートナーに対する考え方も変わってきます。まずは自分が変わること。次の恋愛はきっと上手く行きますよ。