極度の緊張は社会不安障害かも

「人前で緊張して上手く話せないんです」と言う話は良くお聴きします。学生時代に人前で代表の挨拶をする時など、みんなの視線を感じて緊張して手に汗をかいたとか、顔が真っ赤になった、話をしている途中で何を話そうとしていたのか頭が真っ白になって分からなくなったと言うのは良くあることです。

人前で話す時の緊張は、同じような経験を重ねることで少しずつ慣れるものなのであまり気にする必要はないと思うのですが、学生の方なら緊張し過ぎて人前に立つことが出来ない、発表会の日になると欠席してしまう。社会人の方なら、緊張と不安が強過ぎてお腹が痛くなってしまい朝礼や会議に参加することが出来ないなどの「回避をする行動」があると社会不安障害かも知れません。

「人前で緊張して上手く話せないんです」と言う人は、過去に緊張して話せなくなった経験が何度もある人です。想像上の「話の上手なイケてる自分」と、話し始めると「まったく話せないイケてない自分」とのギャップに気付いて、話している途中にどんどん緊張感が高まってしまうのが原因です。

なかには緊張が高まると、頭が真っ白になってペラペラと言葉が自動的に出てくるという羨ましい方もいますが、そのような才能を持っているのは有名な司会者など、ほんの一握りの方です。

たいていの方が緊張すると、赤面したり、しどろもどろになります。他に発汗作用もあって、浮気が見つかって奥さんに嘘をついた時などは、誰でも緊張で手やわきの下に嫌な汗をかいてしまいます。

野生のウサギが狐に見つかった時にビクッと緊張するように、人間も他人の視線を感じたら緊張するのは防衛本能なので仕方がないのです。

人前で緊張しないように話をするには、事前の準備をしっかりする、シミュレーションを何度もするのが良いのですが、話し始める前に「今日は緊張していますがよろしくお願いします」と言ってから発表を始める方法もあります。

また、少し自己暗示に近いのですが、「緊張は誰にでもあることなので私が緊張するのは当たり前。ほら、聞いているあなただって緊張しているでしょ?みんな一緒だよね」のように、聞いている人が仲の良い友達だと思い込むと緊張しなくなります。

もし、どうしても緊張が我慢できないと感じていて、朝礼や会議の場面を想像すると冷や汗が出る、声や手が震える、会社に近づくと涙が出るなどの症状があったり、体が重くなって朝、起き上がることができなくなっていたら社会不安障害かも知れません。

社会人になりたての頃に会社に行けないなどの回避の行動が出ると、周囲から五月病でやる気がないだけだろうと言われて余計に自信を無くし、うつになるかも知れません。無責任な励ましや、無理やり会社に出勤させるような発言は避けた方が良いです。

社会不安障害かなと思ったら、まずはご家族に相談して、不安や辛さを知っていただきましょう。そして、これは性格なんだから仕方がないと思わずに、辛いなと感じたら早めにカウンセリングを開始することをお勧めします。